映画《ジェミニマン》ネタバレ感想:二人のウィル・スミスの対決
51歳の引退を決意した伝説のスナイパーと、彼のクローンとの死闘を描いたSFアクション。
ウィル・スミスとヤング・ウィル・スミス(クローン)の対峙。ここまで来たのか。最新のデジタル技術の進歩に驚かされる。
作品情報
原題:Gemini Man
公開年:2019年
製作国:アメリカ
上映時間:117分
監督:アン・リー
主要キャスト:ウィル・スミス
メアリー・エリザベス・ウィンステッド
クライヴ・オーウェヴ
ベェネディクト・ウォン
評価:70
ジェミニマンあらすじ
一流の殺し屋ヘンリーは72人目の暗殺任務を機に引退を決意する。しかし、身内からの暗殺部隊に襲われ危うく難を逃れる。72人目のターゲットの情報が改竄されていた。しかも凄腕の殺し屋ヘンリーに対抗する手段として、秘密裏に計画していたヘンリーのクローンを差し向ける。お互い相手の思考が読める為、死線ギリギリの死闘が展開する。
ジェミニマンネタバレ感想
二人のウィル・スミスの対決
この作品の見どころは何といっても、年齢が違うウィル・スミスのアクションだろう。
かたや年を重ねた経験で上回るヘンリー、もう一方は若さゆえの身体能力で勝るジュニア(クローン)。
この両者の対決だが、まずは最も得意とする狙撃から始まる。
初めて自分の瓜二つ(ただしだいぶ若い)のジュニアと対決するシーン。
通常の相手であれば、たとえそれがプロのスナイパーであっても撃ち負けることはないヘンリーだが、ジュニアは別だった。
次の攻撃がことごとく相手に読まれてしまう。しかも、相手も次の攻撃が分かってしまう。なので両者一歩も譲らない攻防戦が続く。
狙撃から始まり、パイクでのアクション。しかも一般車両が行きかう住宅街を相手のバイクを目で追いながら銃を撃つという離れ業。
ジュニアのバイクもろともぶつけてくる攻撃を紙一重でかわすヘンリー。
体力勝負で分があるのは若いジュニアの方で、最後は地元警察が駆け付けヘンリーが拘束されて初対決は終了。
ヴェリスの野望の犠牲者
ヴェリスはジュニアという心は純粋だが、超一流の殺し屋を作り上げた。
孤児だったと嘘をつき自信を養父だと思い込ませ、幼い頃から殺人術を徹底教育してきたが、ジュニアの心の中は絶えず疑念と不信が渦巻いていた。
ジュニアの苦悩を一番よく理解できるヘンリーだったが、ヴェリスからの洗脳からなかなか抜け出せる執拗にヘンリーを襲う。
当然ヘンリーは初めて瓜二つのジュニアに合ったときから、彼を殺すことが出来ない。
自信のクローンだと分かってからはなおさらだ。
ラストで二人目のクローンを倒した後、ヴェリスを殺そうとするジュニアを止めるヘンリー。
ここでジュニアがヴェリスを殺してしまうと、彼は一生心の傷を背負って生きていかなければならない。
曲がりなりにもヴェリスは育ての親だ。その親を殺して今後心穏やかに生きていくことは到底できない。
ジュニアにそんな思いをさせたくないヘンリーはヴェリスを殺そうとするジュニアを必死で説得する。このシーンのヘンリーとジュニアの心情がいい。
それにしても二人目のクローンまで育てていたとは。ヴェリスといやつはなんて非情な奴だ。自分の計画の為に、クローンの気持ちを微塵も考えようともしない。
全ては自分の為、自分の野望のために作り上げた兵器としか見ていない。
ヘンリーとダニーの関係
二人の年齢が結構離れているようで、いくつもの死線をかいくぐってきた割にはそれほど親密にもらならなった。
ヘンリーは自分の監視役として命令されてきたダニーを巻き込んでしまい何とか巻き添えにしたくない一心で彼女を守りながら追手の難を逃れる。
一方、ダニーの方は、伝説の殺し屋ヘンリーの心の奥底を垣間見て何とかヘンリーの力になろうを精一杯奮闘する。
ジェミニマンまとめ
最後のヘンリーはようやく引退できて、これからは自分の好きな人生を歩む。
ダニーは昇進。
ジュニアは大学生活を始める。ようやくヴェリスの束縛から解放されたジュニアは今後自身の道を見つけていくのだろう。
しかし、ヘンリーは父親のように、ダニーは姉のようにジュニアの進路について口をはさんでいたが、微笑ましい光景で緊張感あふれるヘンリーとジュニアの死闘が嘘のようだ。
映画《紀元前1万年》あらすじネタバレ感想:面白くなりそうでならなさそうで
精神的にまだ未熟な青年が複数の部族を率いて、捕らえられた仲間たちを救出する成長物語。行く手には過酷な自然と想像を絶する人間を餌としか見ない生き物が待ち受ける。
作品情報
原題:10000BC
公開年:2008年
監督:ローランド・エメリッヒ
上映時間:109分
評価:60
登場人物
デレー: 主人公。ヤガル族の青年。
エバレット: 青い目の少女。
ティクティク: ヤガル族。デレーの父がいなくなった後、デレーの後見人になる。
バク: ヤガル族の少年。
カレン: デレーのライバル
巫母: 不思議な力を持つヤガル族の巫女的存在。
あらすじ
舞台が紀元前1万年という途方もない昔々の物語。この物語はヤナル族の青年デレーの成長物語だ。
精神的にまだ未熟なデレーが図らずも父のたどった旅路と同じ道をたどることになる。後見人のティクティク、ライバルのカレンそして少年バクの4人ではるかかなたの南方を目指す。4本足の悪魔に攫われたヤガル族の仲間とエバレットを助ける為に。
ネタバレ感想
良かったところ
見ていると続きが気になってくる。だいたい先の予想はできるのだが、それでも次の展開はどうなるだろか、何が出てくるだろうかと。
マナク(ヤガル族はマンモスをマナクと呼ぶ)を狩るシーン。昔見たの「はじめ人間ギャートルズ」のように集団でマナクを追いかけ銛で突き刺して倒すのかっと思ったら、ちゃんと作戦があったのだ。そこまで原始的ではなかった。
なるほどヤガル族が集団でマナクを狭路へ追い込んで、別の仲間が崖上から巨大な網を狙いをつけた一頭にかぶせる。マナクは網に絡まり倒れたところを全員で打ち取るというものだ。これならうまくいきそうだと思ったが、いつもそううまくいくとは限らない。網と引きずって逃げ出してしまった。
南の大地では巨鳥に襲われたり、サーベルタイガーを救ったりと、攫われた部族の若者たちの後を追うデレー達の長い旅路が面白い。南下するにつれて景色が変わり気温も上がり始める。極寒の地から灼熱の太陽が照り付ける地へと激変する環境にも適応できる人類はすごい。
今まで見たこともない生き物。この時代の人類は生命の頂点ではなかった。まだ人類は地球上の動物の一つの種類でしかなく、人間を狙う獰猛な生き物も存在していた。安心して生きていける環境はなかったのである。長い旅路では常に危険と隣り合わせで絶えず周囲を警戒していなければならなかった。
そして初めて出会う南方の部族。どれもアフリカ部族のようだがそれぞれ部族によってが出ていて面白い。
ヤナル族の居住地は現在のドイツあたりだろうか。デレー達の旅路はアンデス山脈を越えてエジプトのサハラ砂漠を縦断したのだろうか。想像が膨らむ。そしえ南方の部族はすでに農耕を始めていた。狩猟生活から農耕生活への過渡期だ。紀元前1万年前、時代考証は合っているのだろうか。
残念なところ
野生動物が少なすぎだろう。出てきたのはサーベルタイガーと巨鳥、そして遠方にカモシカの群れ。いくら何でもあれだけ長い旅をしながらたったこれだけとは。登場人物に今一つ魅力が感じられないのだから野生動物でカバーしないと。
どの登場人物も感情の表現が少ない。
なのでいまひとつ感情移入できない。唯一バクとアフリカ部族の少年の友情が芽生えたシーンだけがよかった。
デレーとカレンがエバレットと部族を率いる立場を賭けて争うシーンもお互いライバル感が少ない。もっとむき出しの若者らしい感情表現はできないのか。
デレーの父親の使命が今一つはっきりしない。ヤナル族の長に選ばれていながら、部族の為に南の地へ旅立ったが、あてはあったのだろうか?
ヤナル族がまだ狩猟民族で農耕は始まっていない。デレーの父親は農耕が始まっている部族の噂でも聞きつけてその種でも貰いに旅立ったのだろうか?
各部族たちがデレーを伝説の人物だと理解したから彼に従って神のいる地へ向かうのは分かるが、あまりにもあっさりと従い過ぎだ。もっと反抗的な部族もあってよっかたのではないか。
エバレットの手の甲“しるし”ができたのは隊長が鞭打った傷跡というのがなんとも。それじゃ隊長が鞭打たなければ“しるし”もできなかったわけで、それよりもエバレットに生まれながらのアザか何かがあった方がよかったのでは。神秘的な言い伝えが各地に残されているのだから、その証拠となるものは人為的なものでは変だろう。
エバレットの命が助かった説明が不十分。巫母がはるか遠い地で身代わりになったようだが、後ろから弓矢で刺された絶命したエバレットを生き返らせるにはいくら奇跡が起きたと言えどももう少しその奇跡が起きた状況を説明してほしかった。
結局青い目の子供は出てこなかった。デレーとエバレットの間に青い目の子供が生まれてそこから青い目の子供の伝説が始まるのだろう。
まとめ
非常に残念というかもったいないというか。設定は単純だが、いくらでも面白くできそうな要素が各所にあったのではないだろうか。
巫母が語る預言や遠い部族にまで及ぶ伝説をもっとうまく生かして、デレーを伝説の英雄にしてしまうこともできただろうに。
しかし紀元前1万年に砂漠の真ん中にビラミッドを作ってしまった。
映画《PLANET OF THE APES/猿の惑星 あらすじネタバレ感想:突っ込みどころ満載
原題:Planet of the Apes
公開年:2001年
製作国:アメリカ
上映時間:120分
監督:ティム・バートン
評価:65
1968年『猿の惑星』の リメイクではなくリ・イマジネーション(再創造)だと監督がいう作品。猿が人間を支配する設定以外は異なったストーリーとなっている。
SFとしては面白いので軽い気持ちで楽しめる作品。
あらすじ
宇宙探査基地オベロン号では遺伝子操作により高い知性を備えたチンバジーたちを飼育していた。人間の代わりにまず先行して危険な任務に就かせる為の実験動物として飼われている。
あるときオベロン号の前方に突然磁気嵐が現れる。チンパンジーのペリクリーズを単独で磁気嵐へ向かわせるが、音信不通になってしまう。ペリクリーズを一番かわいがっていたレオ・デヴィットソン大尉は見捨てられず上官の許可を得ず勝手に後を追う。
しかしレオは磁気嵐に巻き込まれ未知の惑星へと不時着する。そこは猿が支配する世界で、人間は動物並みに扱われていた。レオは現地の人間と一緒に猿の軍団に捕らえられてしまう。
突っ込みどころ満載のネタバレ感想
何故チンパンジー?
宇宙でチンパンジーを実験的に飼うのは理解できる。宇宙での生命体への影響を人間の代わりに調べたりするのに有効だろう。しかし宇宙基地内がチンパンジーやゴリラの飼育場と化していて、違和感が。
いくら遺伝子操作で知能が高くなったとはいえ限界があるだろう。人間でも対応が難しい宇宙空間でのミッションをチンパンジーにやらせるとは。通常無人探査機やロボットを使うほうが効率的ではないだろうか。
磁気嵐でタイムスリップ?
磁気嵐に巻き込まれるとタイムスリップするようだ。宇宙は謎だらけだからそういうこともあるかもしれない。磁気嵐に遭遇するタイミングによっては大きな時間差が生じることもあるのだろう。レオが猿の惑星に不時着した時より千年も前に宇宙基地オベロン号は同じ惑星に不時着している。
しかし、レオが窮地に立たされた時、上空からチンパンジーのペリクリーズが神のように降臨したのにはタイミングが良すぎてあっけにとられた。あまりにもドンピシャ。
そして中から現れたペリグリーズは猿の惑星の猿たちから伝説の神の再来に見えるという。
圧倒的な猿への力のいれよう
この作品自体猿がメインだらか仕方ないが、猿と人間の力の入れようの差に歴然とした違いがある。猿は個性的なキャラが多数登場するのに、人間側はかなりキャラが薄い。
それにデイナはレオに気があるようだが、彼女の態度がいまいちはっきりしない。この作品の人間は喋れるのだから、もっと意思を伝えてもいいと思うのだが。
猿は饒舌だが人間は知能はあっても逃げ惑うばかりで自分から行動しようとしない。1000年かけて退化してしまったようだ。
猿たちに1000年間言い伝えられてきた伝説があったように、人間にはオベロン号の不時着から始まる伝説は生まれなかったのだろうか。人間側の伝説があれば作品にもっと深みが出ただろうに。
ラスト
このラストはどういうこと?再び磁気嵐が起きてレオはこの磁気嵐で元の時間戻れると勝手に思うわけだが、そこはいいとして、あまりよくないがここまで来たらもうしょうがない。うまい具合に元の時間に戻ったようだ。
小さなポッドで地球へ帰ろうとする。そして本当に帰ってしまった。ポッドで帰れるの?すると地球はセード将軍が支配していた惑星だった。これはどういうことだろう。
①レオが地球だと思ったのは本当は猿の惑星だった?
②それともレオはもとの時間に戻れず猿の惑星の未来に着いてしまった?
しかし、ポッドの時間表示はちゃんと過去に戻っていたのだが。
③地球はセード将軍に支配された?時間軸のズレ?タイムパラドックス?
まとめ
突っ込みどころはたくさんあったが、猿のメイクや動作、衣装など猿の世界観や文化はけっこう面白い。猿の軍団んやセード将軍の副官と元将軍のゴリラ同士の対決など迫力あるシーンも随所にあった。
SF的にはあまり深く細かく考えず、軽く見て楽しむにはいい作品だと思う。